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ヒトは人事部、組織は経営企画部、ワークスタイルは事業部門、ITは情報システム部が機能分化してそれぞれ新組織計画・戦略を検討するだけではなく、ファシリティに関して、その戦略を考え、部分最適を企画し、他の部門との調整の中で全体最適を立案してこそ、経営戦略となるはずです。 現状の総務部が戦略型に変身するのは困難なケースが多いことから、FM部門の創設が必要と思われます。
そしてFM部門が説得性を持つためにもファシリテイコスト管理が重要なのです。 FM先進国である米国ではFMはどのように行われているのでしょうか?まず、注目されるのは、不動産に関する機能、スペースプランニングに関する機能、コンストラクション(建設)に関する機能、ITに関する機能をFM部門が有していることです。
まず、FMにおいては減損会計やファシリテイコストで説明したように、建物ごとの戦略を立てていく必要があり、それは立地戦略ともからむ不動産戦略が必要な部分です。 この不動産戦略と連動したオフィス戦略を練る機能があるというのが重要です。
次に、オフィス戦略に基づいたスペースプランニングの機能を別セクションとして併せ持っていることも注目されます。 そして、自社建物の建設や内装工事、改修工事といったコンストラクション(建設)に関する機能(ここでは施工監理と思われます)を内部に持っていることが重要なのです。
ITというのは、FM部門内で使用するFM関連のアプリケーションソフト開発・ツール開発機能は情報システム部ではなく、このFM部が担っているということです。 また、ここでみるコールセンターとは、社内ファシリティサービスに対する社内の苦情窓口のことであり、社外に対する「お客様相談室」とは違います。

これら以外は、庶務営繕的なサービスが中心になるので、特に説明は必要ありませんが、米国企業が不動産を含めた戦略立案セクションを有し、対応、までも含めた業務が展開されていることは注目に値します。 当然企業の理念・ビジョン・経営方針に添った経営戦略が練られ、それと連動した形でのFM戦略の立案が行われます。
まず企業の存在理由としての企業理念があり、それに連動した形でFM理念があります。 言葉や文章化されていなくとも、永年事業を営んでいる場合には社風や企業文化といった中に、その芽は存在するものです。
そして、その企業が進むべき方向と実現したい大きな夢がビジョンで示されます。 それを戦略に落とし込むのです。
米国のCは「経営戦略と経営組織」の中で、経営戦略とは「企業の基本的長期目標・目的の決定、とるべき行動方向の採択、これらの目的遂行に必要な資源の配分」と定義しています。 これを受け、K教授(神戸大学)は経営戦略を立案するには次の4つの側面についての決定が必要で、あると述べておられます。
最初のドメインとは、企業が事業を行う上での生存領域、事業領域をさします。 たとえば、00鉄道株式会社の場合、鉄道事業を行う会社ですが、領域を広げてパスも使った輸送も行っているので、輸送事業という領域に設定することもできます。

しかしトラックを使った貨物の運送事業は行わないとなれば、もっと領域は明確になってきます。 この事業領域を決めることです。
2つ目の資源展開とは、経営資源にはヒト・モノ・カネといった物的資源と、信用・ブランド・技術といった情報的資源があり、これらをいかに配分したり蓄積していくかを決めることにあります。 3番目の競争戦略は、まさにこの中心テーマですが、経営資源を組み合わせて、競争相手に対する差別化、優位性を確立する指針をたてることにあります。
最後の、組織間関係とは、企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)との関係調整.共生方針を決定することです。 そして、この全体戦略を考える上で、機能別や事業分野別といった分野に分割して個々の戦略に落とし込み、部分最適を検討し、マトリックスでとらえ直し全体最適を考えていくのです。
これをマトリックス構造でみてみると明確に経営機能のーっとしてのFM分野が登場してくるのです。 では具体的に、経営戦略との連動はどういう風に進めていけばよいのでしょう?全体最適と部分最適は、どちらか片方が決定された後に次に移るのではなく、双方が行ったり来たりの調整の後、決定されます。
ですからたとえば、ある営業所のFM戦略、オフィス計画を立てるにしても、営業拠点、政策やそこで働くワーカーの人事政策についても勘案しなくてはFM部門だけが独走した机上の空論に陥る可能性があります。 減損の兆候が見られるので営業所ビルを売却し隣の支屈に吸収する、などといったFM戦略を立案しでも事業戦略からみれば「とんでもない」となりかねないのは少し考えただけでもわかることです。
常日頃から他部門の情報を収集して全体最適も考慮、に入れながら部分最適の戦略を立案することが重要です。 逆に、経営戦略が決定するのを待ってFM戦略を検討していては、タイミングを逃したり、必要な検討資料がすぐには作成できない状態になることもあります。
また、部分最適を目指す詳細の戦略を立案する段階になって始めて、他の部分との間に利害が発生し、全体最適の再考をすることがあります。 FM部門としては、常日頃から経営の先を読み、先手先手の仕掛けを行うために、必要データを収集し、整備しておくことが肝要です。
そして、この先を読んだ先手の戦略立案こそが戦略的FMなのです。 ドメインが設定されると続いて経営目標が設定されます。

この目標として財務指標が使われるのですが一番馴染みのあるのが売上高や利益目標であり、旧来型の経営ではこれらの前年比だけで設定することが多かったのではないでしょうか?それは業界内でのシェア獲得目標につながり、右肩上がりの成長の中での規模や量の拡大を目指すものであったのです。 現在でも成長産業においては有効な指標ですし、それ以外の産業でも一番ベースになる指標ではありますが、売上高やシェアだけが目標になる時代は、バブルの崩壊とともに終わりました。
低成長期に入った企業では規模の拡大よりも効率を求めることが重要になってきました。 「余裕」が「無駄」に置き換わり、無駄の排除が「効率」の追求になったのです。
土地や資産の含み益があった頃は、この含み益が「余裕」であり、保険であったのですが、含み益がなくなり、含み損が出てくると、やっと稼ぎ出した利益すら含み損で消えていくことになります。 低成長期の企業でも規模の拡大を目指す売上・利益・シェアだけが未だに経営目標であるとかなり厳しい企業運営を強いられます。
そこで、これらの指標とともに、効率をみる指標をあわせて判断材料にする必要があります。 量や規模の拡大を目指す場合のFMの対応としては、ともかく企業の成長を予測し、先取り対応していくことにあります。
ITパブソレ最盛期の米国2000年夏シリコンバレーにあるIT関連企業を訪問し、そこで見聞きしたFMの光景は、ともかく広大な土地を購入し、そこにオフィスビルをどんどん増築している姿でした。

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